赤字の欠損金。伝家の宝刀を今年抜くか来年以降に抜くかの決断

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隠し玉

経営は赤字と黒字の天秤

会社の経営をしていると赤字の年もあれば、黒字の年もあります。日本経済を見渡していても、世界を股にかけて戦うナショナル企業においても、大幅な赤字に陥ることがあります。それほどに経営は難しいことだと言えます。その意味で、刻々と変わる経済状況の中で、経営に奮闘されている経営者の方々には頭が下がります。彼らの活躍が日本の経済を支えているわけですから、今後も大いに活躍してもらいたいと切に願います。

会社が赤字に陥った時、節税対策が頭をよぎります。例えばA社が今期100万円の赤字に陥りました。通常であれば、この100万円は翌期以降に欠損金として繰り越すことが考えられます。

欠損金を翌期以降に繰り越すとはどういうことか、説明します。会社の赤字については、次のルールに基づき、欠損金に計上できる期間が定められています。

平成13年4月1日より前に開始した各事業年度において発生した赤字は5年間
平成13年4月1日以降、平成20年4月1日より前に終了した各事業年度の赤字は7年
平成20年4月1日以降の各事業年度の赤字は9年

もし平成28年に赤字100万円が発生してしまった場合、今後9年間に渡って欠損金として繰り越せます。もし平成29年度も平成30年度も赤字だったとしても、平成31年度が黒字になれば、そのタイミングで100万円を欠損金として計上でき、その分の節税効果が生まれるのです。

この様に、赤字に陥った企業に対する税法上の救済策がほどこされているのです。

この仕組みを理解していた人は経営者か、よく勉強しているビジネスパーソンでしょう。

法人税の繰戻還付制度とは

では、この仕組みはご存知でしょうか。「法人税の繰戻還付制度」です。これは中小企業にだけ認められた制度です。仕組みは、名前を見ていただければ理解できる通り、前期に法人税を支払っていれば、欠損金の分だけ税金を取り戻せるという制度です。

ここで重要なポイントは、前期支払った税金を取り戻すのか、翌期以降の黒字と相殺するのか、という点です。この2つの選択枠から経営者がベストだと思う方を選ぶのです。

前者の方法であれば、直ぐにキャッシュが増えます。当然です。なぜなら税金が返って来るからです。100万円の欠損金を基に前期の税金を取り戻そうとすると、法人税率30%だと仮定して、30万円ほどのキャッシュが会社に返ってくる計算が成り立ちます。

後者の方法であれば、キャッシュが返ってくるのは先の話になります。

節税対策で困ったときは税理士へ

一見すると前者の方法で「法人税の繰戻還付制度」を利用した方がよさそうですが、税理士の先生に聞くと、「税務署から目を付けられる可能性があるよ」とのことでした。

いずれにしても、このような節税対策に関する選択枠を理解した上で、自分の会社にあった対策を、顧問税理士の先生に相談してみてください。

編集部 担当デスク A